名古屋ボストン美術館で1月14日~2月26日に開催されていた、「吉田博 木版画展ー抒情の風景(ノスタルジック・ユートピア)」へ行きました。
「吉田博 木版画展」へ。名古屋ボストン美術館は2018年に閉館予定
今回の展示では吉田博の作品の中から木版画ばかりを、MOA美術館所蔵品より86点紹介されていました。
展示会では作品の素晴らしさや芸術家としての才能だけでなく、絵の鬼と呼ばれた吉田博の作品への強い拘りも感じて、造り上げた芸術作品をビジネスにしていく商才の高さや、視点の鋭さにも驚かされました。
フライヤーは2パターン
今回の展示会で配られていたフライヤーは、2種類ありました。
左は「東京拾二題 亀井戸」(部分) 1927年(昭和2年)、右は「瀬戸内海集 光る海」(部分)1926年(大正15年)
会場では「吉田博と巡る 全国名所の旅」というオリジナル展覧会ガイドマップも配られていて、国内外の様々な場所を訪れた博の旅路と共に作品紹介があり、見応えがあって楽しめました。
吉田博の木版画は今回初めて目にしたのですが、私はその美しさにすっかり虜に。
自然を愛し山を愛した吉田博の作品は、その場の空気や光までもを描いているようでとても素敵でした。
見ているだけで気持ちが落ち着くというか、まるで自然の中にいるようで妙に心癒されるというかなんというか・・・ずっと、眺めていたくなりました。
吉田博(明治9年~昭和25年)
1876年、福岡県久留米市に生まれ。
展示会で配られていた略年表や解説映像からは、典型的な九州男児らしい側面が伺えて、その破天荒さや行動力の高さにも驚かされました。
吉田博は18歳で上京し画塾「不同舎」に入り周囲から「絵の鬼」と呼ばれるほど修行に明け暮れ、23歳で一念発起し、中川八郎と共に作品を持ち渡米したそうです。
2人で訪れたデトロイト美術館でのアピールが実り、開催した展覧会で人気を集めたそう。
その後も複数回に渡って海外で展覧会を開催した後に、45歳で最初の本格的な木版画「牧場の午後」を出版。
40代を過ぎてなお新しいことにチャレンジしていくのは、自分に置き替えてみても凄いことだなと感じます。
吉田博の残した作品は、水彩画・油彩画・木版画と様々ありますが、木版画はとくに海外での人気が高かったそうです。
故ダイアナ妃の執務室には吉田博の作品「光る海」が飾られていたり、フロイトやマッカーサーも博の作品に惹かれていたと紹介されていました。
海を描いた作品も素敵でしたが、私は特に山を描いた作品が素敵で惹かれました。生誕140年記念の巡回展「吉田博展」にも機会があれば是非出かけたいです。
吉田博について詳しく知りたい場合は、展示会の公式や開催中の巡回展の公式等でも確認できます。
MOA美術館は熱海駅から車で5分ほど、丘の上にある美術館です。
開催中の巡回展「吉田博展」
名古屋で開催されていた木版画展はすでに終了しましたが、生誕140年記念の巡回展「吉田博展」は、この先も長野・東京と巡る予定です。
長野県 上田市
上田市立美術館(2017年4月29日~6月18日)
東京都 新宿区
東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(2017年7月8日~8月27日)
また長野や東京で開催される巡回展にも、都合を付けて足を運びたいです。
吉田博 作品集
来年閉館が決定、名古屋ボストン美術館
名古屋ボストン美術館が開館したのは、1999年。
金山駅の目の前という立地でアクセスも良く、愛知に暮らしていた頃はよく足を運んだ場所です。
閉館が決まったときは、とても残念でした。
名古屋ボストン美術館の閉館は2018年(平成30年)9月頃を予定と公式には書かれており、閉館に伴ってメンバーシップ会員の新規募集も今年5月14日で終了となるそうです。
名古屋ボストン美術館
住所:〒460-0023 愛知県名古屋市中区金山町一丁目1−1
URL:http://www.nagoya-boston.or.jp/
電話:052-684-0101
開館時間:
火~金曜日 10:00~19:00
土・日・祝休日 10:00~17:00(最終入館 閉館の30分前まで)
休館:月曜日(祝祭日、振替休日の場合は、その翌日)、展示替え期間、年末年始